制度概要
目次
温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度とは?
算定・報告・公表制度の対象者
温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度とは?
算定・報告・公表制度のねらい
- 温室効果ガスの排出の抑制を図るためには、まず、各事業者が自らの活動により排出される温室効果ガスの量を算定・把握することが基本です。これにより、排出抑制対策を立案し、実施し、対策の効果をチェックし、新たな対策を策定して実行することが可能になります。
- 算定された排出量を国が集計し、公表することにより、事業者は、自らの状況を対比し対策の見直しにつなげることが可能になります。また、国民各界各層の排出抑制に向けた気運の醸成、理解の増進が図られるものと期待されます。
算定・報告・公表制度の概要
改正された地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、平成18年4月1日から、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが義務付けられました。また、国は報告された情報を集計し、公表することとされています。
算定・報告・公表制度の対象者
対象となる温室効果ガスと事業者
全ての温室効果ガスが対象となり、多量に温室効果ガスを排出する事業者は、事業内容に関わらず対象となります。
温室効果ガスの種類 | 対象者 |
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[1]エネルギー起源二酸化炭素 (燃料の使用又は他人から供給された電気若しくは熱の使用に伴い排出されるCO₂) |
【特定事業所排出者】 全ての事業所のエネルギー使用量合計が原油換算※1 1,500kl/年以上の事業者が対象です。
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【特定輸送排出者】
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[2]非エネルギー起源二酸化炭素 ([1]以外で排出されるCO₂) |
【特定事業所排出者】 次の①及び②の要件を満たす事業者※4,※5 ①温室効果ガスの種類ごとに定める当該温室効果ガスの排出を伴う活動(排出活動)が行われ、かつ、当該排出活動に伴う排出量の合計量が当該温室効果ガスの種類ごとにCO2換算で3,000トン以上 ②事業者全体で常時使用する従業員※6の数が21人以上 |
[3]メタン(CH₄) | |
[4]一酸化二窒素(N₂O) | |
[5]ハイドロフルオロカーボン類(HFC) | |
[6]パーフルオロカーボン類(PFC) | |
[7]六ふっ化硫黄(SF₆) | |
[8]三ふっ化窒素(NF₃) |
※1 省エネ法と本制度では、バイオマス由来の燃料や水素、アンモニア等、算定対象となるエネルギーの種類が異なるものがありますが、ここでは省エネ法の算定方法によりエネルギー使用量を算定し、原油換算します。以降は「原油換算」の表記を省略します。
※2 (1)~(4)のいずれかに該当する事業者においてエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業所が含まれる場合は、当該事業所におけるエネルギー起源CO₂排出量も併せて報告します。
※3 (1)~(3)に該当しない事業者は省エネ法により指定又は認定された事業者ではありませんが、(4)はこれらの指定又は認定の取消を受けた事業者が指定又は認定されていた期間の排出量を報告することを想定しています。
※4 要件(Ⅱ-4ページ)を満たす連鎖化事業者(フランチャイズチェーン)についても、加盟している全事業所における事業活動をフランチャイズチェーンの事業活動とみなして報告を行います。
※5 温室効果ガスの種類ごとにCO₂換算で排出量が3,000トン以上となる事業所が含まれる場合は、当該事業所の当該温室効果ガス排出量も併せて報告します。
※6 常時使用する従業員の考え方については、算定報告マニュアル第Ⅱ編を参考にして下さい。
対象となる事業者 フロー図
排出量算定の対象となる活動
下記の事業活動が、温室効果ガスの排出量の算定の対象となります。
※要件を満たすフランチャイズチェーンについても、加盟している全ての事業所における事業活動を、フランチャイズチェーンの事業活動とみなして報告します。
エネルギ-起源二酸化炭素(CO₂)
- 都市ガスの使用
- 燃料の使用
- 他人から供給された電気の使用
- 他人から供給された熱の使用
非エネルギー起源二酸化炭素(CO₂)
- 石炭の生産
- 原油又は天然ガスの試掘
- 原油又は天然ガスの性状に関する試験の実施
- 原油又は天然ガスの生産
- 原油の輸送
- 地熱発電施設における蒸気の生産
- セメントの製造
- 生石灰の製造
- ソーダ石灰ガラスの製造
- 炭酸塩の使用
- アンモニアの製造
- シリコンカーバイドの製造
- カルシウムカーバイドの製造
- 二酸化チタンの製造
- ソーダ灰の製造
- エチレン等の製造
- カルシウムカーバイドを原料としたアセチレンの使用
- 電気炉における炭素電極の使用
- 鉄鋼の製造における鉱物の使用
- 鉄鋼の製造において生じるガスの燃焼(フレアリング)
- 潤滑油等の使用
- 非メタン揮発性有機化合物(NMVOC)を含む溶剤の焼却
- ドライアイスの製造
- ドライアイスの使用
- 炭酸ガスのボンベへの封入
- 炭酸ガスの使用
- 耕地における肥料の使用
- 廃棄物の焼却
メタン(CH₄)
- 燃料の使用
- コークスの製造
- 電気炉における電気の使用
- 石炭の生産
- 木炭の製造
- 原油又は天然ガスの試掘
- 原油又は天然ガスの性状に関する試験の実施
- 原油又は天然ガスの生産
- 原油の輸送
- 原油の精製
- 天然ガスの輸送
- 都市ガスの製造
- 都市ガスの供給
- 地熱発電施設における蒸気の生産
- エチレン等の製造
- 家畜の飼養(消化管内発酵)
- 家畜の排せつ物の管理
- 稲作
- 農業廃棄物の焼却
- 廃棄物の埋立処分
- 堆肥の生産
- 廃棄物の焼却
- 工場廃水の処理
- 下水、し尿等の処理
一酸化二窒素(N₂O)
- 燃料の使用
- 木炭の製造
- 原油又は天然ガスの性状に関する試験の実施
- 原油又は天然ガスの生産
- アジピン酸等の製造
- 麻酔剤の使用
- 半導体素子等の製造
- 家畜の排せつ物の管理
- 耕地における肥料の使用
- 耕地における農作物の残さの肥料としての使用
- 林地における肥料の使用
- 農業廃棄物の焼却
- 堆肥の生産
- 廃棄物の焼却
- 工場廃水の処理
- 下水、し尿等の処理
ハイドロフルオロカーボン(HFC)
- クロロジフルオロメタンの製造
- ハイドロフルオロカーボンの製造
- マグネシウム合金の鋳造
- 半導体素子等の製造におけるHFC又はPFCの使用
- 冷凍空気調和機器の製造におけるHFCの封入
- 業務用冷凍空気調和機器の使用開始におけるHFCの封入
- 業務用冷凍空気調和機器の整備におけるHFCの回収及び封入
- 家庭用電気冷蔵庫等HFC封入製品の廃棄におけるHFCの回収
- プラスチック製造における発泡剤としてのHFCの使用
- 噴霧器の製造におけるHFCの封入
- 噴霧器の使用
- 溶剤等の用途へのHFCの使用
パーフルオロカーボン(PFC)
- パーフルオロカーボンの製造
- 半導体素子等の製造におけるPFC、HFC又はNF₃の使用
- 光電池の製造におけるPFCの使用
- 溶剤等の用途へのPFCの使用
- 鉄道事業又は軌道事業用整流器の廃棄
六ふっ化硫黄(SF₆)
- 六ふっ化硫黄の製造
- マグネシウム合金の鋳造
- 半導体素子等の製造におけるSF₆の使用
- 変圧器等電気機械器具の製造及び使用の開始におけるSF₆の封入
- 変圧器等電気機械器具の使用
- 変圧器等電気機械器具の点検におけるSF₆の回収
- 変圧器等電気機械器具の廃棄におけるSF₆の回収
- 粒子加速器の使用
三ふっ化窒素(NF₃)
- 三ふっ化窒素の製造
- 半導体素子等の製造におけるNF₃の使用
排出量算定の流れ
01
排出活動の抽出
温室効果ガスごとに定めた当該温室効果ガスを排出する活動のうち、事業者が行っている活動を抽出します。
02
活動ごとの排出量の算定
抽出した活動ごとに、政省令で定められている算定方法・排出係数を用いて排出量を算定します。
温室効果ガス排出量 = 活動量 × 排出係数
※活動量:生産量、使用量、焼却量など、排出活動の規模を表す指標
※排出係数:活動量当たりの排出量
03
排出量の合計値の算定
温室効果ガスごとに、活動ごとに算定した排出量を合算します。
04
排出量のCO₂換算値の算定
温室効果ガスごとの排出量をCO₂の単位に換算します。
温室効果ガス排出量(tCO₂)
= 温室効果ガス排出量(tガス) × 地球温暖化係数(GWP)
※GWP(Global Warming Potential):温室効果ガスごとの地球温暖化をもたらす程度のCO₂との比
算定方法
排出活動ごとの算定方法は、制度のホームページに掲載の算定・報告マニュアルをご参照ください。
排出量の報告手続
報告様式
排出量等を報告するガスの種類により提出書類が異なります。
報告するガスの種類 | 提出する書類 |
---|---|
エネルギー起源CO₂ | 省エネ法 定期報告書 |
上記以外の温室効果ガス | 温対法 温室効果ガス算定排出量等の報告書 |
また、温室効果ガス排出量について温室効果ガスの排出量の増減の状況に関する情報など、排出量に関係する情報を任意で提出することができます。
提供された情報は、排出量の情報と併せて公表されます。
この情報を提供する場合は、温対法の様式第2「温室効果ガス算定排出量の増減の状況に関する情報その他の情報」を用います。
省エネ法の定期報告との関係
事業者の報告に係る負担を抑える観点から、省エネ法の定期報告書を併用することを認めています。具体的には、以下のとおり報告してください。
- エネルギー起源CO₂の排出量のみを報告する場合
省エネ法の定期報告書を使用し報告しても差し支えありません。 - エネルギー起源CO₂以外の温室効果ガスの排出量のみを報告する場合
温対法に基づく温室効果ガス算定排出量の報告書を使用して報告してください。 - エネルギー起源CO₂とそれ以外の温室効果ガスの両方の排出量を報告する場合
省エネ法の定期報告書に、温対法に基づく温室効果ガス算定排出量の報告書を添付して報告してください。
排出量の報告
排出量の報告期限、算定対象期間に関しては以下を参照してください。
報告の期限
- 特定事業所排出者:毎年度7月末日までに報告
- 特定輸送排出者:毎年度6月末日までに報告
算定対象期間
- 代替フロン等4ガス(HFC、PFC、SF₆、NF₃)以外の温室効果ガス:年度ごと
- 代替フロン等4ガス:暦年ごと
報告に関する罰則
報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料の罰則があります。